(1)自分の血圧を知ろう

 血圧とは全身の血管に血液を流すための圧力です。皆さんは血圧はいつも一定だと思っているかもしれませんが、実際には実にダイナミックに変動しています。体が動いている時は筋肉が大量のエネルギーを消費します。エネルギーを発生させるには酸素が必要で、酸素は血液が運搬しています。ですから運動中は筋肉に流れる血液の量を増やさなければなりません。そのため圧力を上げて血液をじゃんじゃん送り込むのです。私の経験だと、普段の血圧が150の人が目一杯運動すると血圧は軽く250まで上昇します。つまり全身の筋肉がフル稼働していると、十分な血液を回すのにそのくらいの圧力が必要だと言うことです。血圧が低値で一定では寝ていることしかできません。ちょっと動いたりするにも血圧が上がってくれないとだめなのです。こういう血圧上昇は高血圧とは全く別の話です。血圧が上がって下がって、それで初めて元気に働けるのです。

 血圧が上がるのは運動している時だけではありません。ちょっと気持ちが高ぶったり緊張したりすると上がります。これは運動する準備状態だと思ってください。ですから、診療所で私の前にすわると普段より血圧が高くなるのです(笑)。

 そうは言っても、心身ともに落ち着いた状態の血圧が基本になります。でも血圧を測ろうと思っただけで血圧が上がってしまうことが多いので、なかなか血圧の真の姿を知ることはできません。実は血圧は「ある程度の幅をもって変動している」のです。「124」とか「136」とかの1つの数字で表現することはできません。ですから、繰り返し血圧を測ってどのくらいの値になることが多いのかを見なければなりません。診療所で1ヶ月に1回測っただけで高い低いと言うことはできないのです。血圧を知る方法は、自分で繰り返し測るのが最高級です。日に1~2回測ることを毎日毎日続けて表やグラフにして眺めてみるのです。1日に100回測るのではありません。測っても良いですが、それでは血圧ノイローゼですね、お勧めしません。その時々の値に一喜一憂せず、1ヶ月分の値を眺めてみて初めて自分の血圧がわかるのです。高血圧なのかどうかを考えるのはその後です。ぜひやってみて下さい。